私たちぬきで私たちの福祉を決めないで 後編

私たちぬきに 医療・福祉

(前編からのつづき)

役所の計画策定会議は、傍聴できます。でも平日の昼間にわけのわからない会議なんてだれも行こうとは思わないですよね。そのうちに役所は自分たちに都合よく制度を作りかえます。私たちのあずかり知らないところで生活に関わる重要な決定が日々なされてしまうのです。

これに異議を唱えることはとても難しい。なぜなら、私たちは役所のやり方をよく知らないからです。形式上、民主的に決められた行政の意思決定なので政治家ですら、なかなか反論できないのです。

現在、立場の弱い高齢者や障がい者が不利益を被るような状況があり、現場の介護職員は行政のやり方に翻弄され続けています。これに対して、役所は「地域の担い手不足」、「地域の助け合いネットワークが希薄である」からだと言います。

はたしてそうでしょうか。確かに下町地区は、集合住宅も多く、以前のような人情味あふれた住民同士のかかわりは薄れたと思います。ただ、その理由は格差の拡大や非正規雇用の増加など生活が苦しくなって、私たちが地域活動に割いている時間などないからです。

たいへんな社会状況を役所が放置しているのに地域のきずなを方便に自分のことは棚に上げ、忙しい区民へ行政の責任を押し付けるのは明らかに不当です。嘆かわしい現状を改善していくには、私たち自身も役所のやりたい放題にしないよう、行政の意思決定過程をよく理解し、おかしいところはおかしいと声をあげていくことが重要だとつねづね考えています。