連携の作法

私の信条

みなさんのご協力のおかげで自治体議員になれました。市民の代表として、みなさんの声を行政に伝えることができています。「もっと早く議員になっておくべきだったなあ」とつくづく思います。

しかし、いいことばかりではありません。議員の発言力を利用したいがために、いろいろな団体が近づいてくるようになりました。「私みたいな無所属の議員に近づいてくる人なんていないだろう」と甘く考えていたのですが、実際に月イチくらいで知らない団体や人物から連絡がきます。 なかには悪徳な集団がいるかもしれません。コワイですね。

最近多いのが、発足したばかりの地域団体からのアプローチです。議員が関わってくれることでなんらかの影響力を期待しているのか、いくつかの団体は、やたらと連絡を入れてきます。しかもやっかいなことに「チョー上から目線」なのです。こういった団体は、江東区で長い歴史をもつ団体へのリスペクトはなく、地元のやり方から学ばずに自身の活動範囲を広げようとしています。

さて、さきほどから私のお得意の福祉トピックをぜんぜん論じていないのですが、ここからが本題です。いま福祉の仕事では「連携」ということが強調されています(by厚労省)。でも、「連携の作法」が確立されていないのではないかと私は思います。

福祉職界隈でいちばん言われているのが「医療と介護の連携」。また「地域連携」、「多職種連携」などもよく言われます。連携によって介護と医療の情報共有を円滑にして、タテ割りの対応を解消できます。地域住民や団体との連携は、地域課題の抽出や福祉意識の醸成に資する大切な活動です。連携のメリットは非常に大きい。

しかし、問題なのは連携のやり方なのじゃ! 先に述べたように多様な新興団体が連携を求めて、アプローチしてくるわけです。信じられないのだけどあまりにも恥知らずな、図々しい団体の多いこと、多いこと・・・。「あなたの団体は力がないので私たちが連携してあげましょう」とか「私が未熟な職員を教育しましょう」とか。地域で長年活動している機関に対して、平気でそんなこと言ってくるんですよ。あきれたものです。

新興団体でなくとも、いままで他団体とあまり連携したことがない福祉団体もあります。彼らは、自分の団体のやり方に固執して、他団体の運営を否定的にとらえてしまうとか、内輪以外の人物と関わるのが苦手とか、ある意味、連携以前の課題をもっていることがあります。そういった団体は、他との連携の経験に乏しいがゆえに円滑な連携の作法を研究する機会がなかったのでしょう。

結局のところ現状、「自分の団体にとっての利益」を求めての連携となっていることが問題です。たとえば、「面倒な仕事を他団体に振るため」とか「自分の団体の職域拡大」とかです。そうした連携の最終目的は、ズバリ団体の「増収」です。利用者支援のための連携というのは建前で、本音は経済的利益のための連携なのです。

自分のメリットにしか目が向いていない連携は、地域福祉にとってあまり価値がありません。利用者や当事者のよき生活を実現することが目的なのに目先の利益しか考えていない団体が少なからずあるのです。まあ、公的なサービス報酬に「連携加算」もあるからね、そうなってしまうこともあるんだろうけど。でも本来的な連携は、形式的なものではなく、「1+1」が「3」になったり、「4」になったりするものだと思います。

いずれにしても、福祉の目的をきちんと見据えた上で、連携のやり方とその意義、他団体にかかわる作法を研究する必要があると私は考えます。それをしたうえで、連携が当たり前になってごく自然に領域横断的な動きができるような社会保障が実現できれば素晴らしいです。