江東区議会の議長あてに申し入れをしました

私の信条

昨年(2023年)の12月12日に江東区議会の企画総務委員会でヘイトスピーチがありました。不適切な発言をしたのは、星野博議員。2022年にも同性カップルなどのパートナーシップ制度を巡り「少子化の進行につながる」、「制度悪用の可能性がある」とLGBTQの方々への差別的発言していたことがあります。今回は、江東区の枝川にある東京朝鮮第二初級学校(朝鮮学校)に「誘拐犯」、「犯罪国家」という言葉を用いました。

当日の委員会で朝鮮学校への給食費無償化の陳情がありました。それに対して、拉致問題を引き合いに出し、(現在、外国人学校保護者負担軽減制度で保護者に月8千円の補助金があるが)「まさにその上に給食費の補助までする。誘拐犯にそんなことすること自体が、私には全く理解できない。誘拐ですよ、これ」、「犯罪国家ですよ」と述べました。

朝鮮学校のこどもたちや保護者がまるでみな犯罪者のような表現です。国際問題にこどもは関係ありません。こども自身が外交の当事者であるはずがないのです。私がこのことをXに投稿すると仲間のソーシャルワーカーから「差別や分断の助長ではなく、誰もが安心して暮らせるよう動くべき」という返答がありました。その通りです。こどもは健やかに育つ権利があります。星野議員は朝鮮学校のこどもに対する経済的支援に反対するばかりか、自身の発言によりこどもが言われなき差別や偏見にさらされる危険な状況をつくり、安心して暮らせる日常までも損なってしまいました。

朝鮮学校のこどもたちは日本で生まれ育った4世、5世で今後も日本で暮らしていきます。同じ地域で育っていく、未来あるこどもたちです。どのようなアイデンティティであっても自分らしく暮らせる地域が人にやさしい地域であると私は信じています。

こども、その保護者、学校の関係者、そして在日コリアンの方々は今回の発言にとても傷ついています。江東区議会という公の場で、市民の代表者が人を貶める発言をすることは決して許されることではありません。

以下、提出した申し入れ文書の全文を示します。

 

2024年1月24日

 

江東区議会議長  山本  香代子  殿

 

企画総務委員会における星野博議員の発言の撤回と謝罪を求める申し入れ

 

区議会議員  高野 はやと

まにわ 尚之

西部 ただし

赤羽目 たみお

正保 みきお

菅谷 俊一

大嵩崎 かおり

 

2023年12月12日、企画総務委員会での陳情審査 議題19の中で、東京朝鮮第二初級学校(枝川1-11-26・以下「朝鮮学校」という。)に適用される外国人学校保護者負担軽減制度に関して、星野博議員は、朝鮮民主主義人民共和国による拉致問題を引き合いに出し、「誘拐犯にそんなことすること自体が、私には全く理解できない」と発言。その後、「犯罪国家」という言葉を用いて、朝鮮学校の児童・生徒までも犯罪者扱いするような暴言を繰り返しました。このことを知った朝鮮学校の児童生徒、その保護者、教員、学校関係者、在日コリアンの方々から「深く傷ついた」という多くの声を頂きました。江東区議会の委員会という公の場で当事者の心情を傷つけるような発言が横行することを決して見過ごすことはできません。

星野議員の発言の前に、総務課長から外交問題と教育支援とは切り離して考えるべきであり、「朝鮮学校に通う保護者に対して教育支援の一環という位置づけで(補助金を)支給している」という説明がありました。それにもかかわらず、あえて政治外交の問題を取り上げて、朝鮮学校のこどもたちの最善の利益を踏みにじる侮辱的な発言に終始しました。

2021年に制定された東京都こども基本条例は、児童の権利に関する条約に基づくもので、条約には「締結国は、児童又はその保護者の政治的意見、国民的出身、出生にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」と定められています。星野議員の発言は、都条例の理念をないがしろにするものであり、わが区で取り組んでいる「江東区こどもの権利に関する条例」の制定に向けた作業の進行を妨げる行為です。

星野議員の発言は、在日コリアンの方々への不当な差別と偏見そのものであり、外交問題と直接関係しない朝鮮学校の児童・生徒を傷つけるものです。当該発言は、地方自治法第132条の「普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用してはならない」に抵触しています。

議長におかれましては、地方自治法第129条に基づき、星野議員に対し、議会の品位を汚し、地方自治法第132条に反する12月12日の企画総務委員会での朝鮮学校に関する発言の取り消しの勧告・命令と、星野議員の発言により傷つけられた人々への謝罪を促すことを求めます。

以上