江戸川区役所の遺体放置事件を考える

私の信条

みなさんもご存じのことと思います。7月に報道された江戸川区の生活保護担当者が遺体を放置していた事件、今回、私の思うところを述べたいです。

事件概要は以下となります。生活保護を受給していた65歳の独居男性が自宅で死亡していたことを知りながら、その担当者の20代の区役所の職員が2か月半に渡り、葬儀などの必要な手続きをせず、放置していて、遺体が一部白骨化して発見された。

生活保護を受給すると必ずケースワーカーという担当職員が決められます(以下、「生保ワーカー」)。今回の事件では、今年1月10日に介護ヘルパーが担当の生保ワーカーに「自宅で男性が死亡している」と電話したそうです。訪問診療の医師も死亡確認をしました。しかし、3月27日に福祉用具のレンタル業者が用具の回収のため訪問したところ、遺体が放置されたままでした。

その後の江戸川区役所の対応はひどいもので、遺体放置の事実を公表したのが、6月30日。3カ月も隠し続けていたのです(担当ワーカーは5月に警察により書類送検され、6月に不起訴となっている)。江戸川区は7月10日に非公開の全員協議会で議会に報告。とても大雑把な説明だったそうです。

私は、一体この後、江戸川区はどんな対応をしていくのか、強い関心を抱き、全員協議会の2日後に開催された福祉健康委員会(江戸川区議会の中にある委員会のひとつ)を傍聴しました。そこで驚きました。福祉部長は、「(全員協議会で)すでに説明したことなのでもう説明しません」と開き直った態度。れいわ新選組の田村議員(元ケースワーカー)が役所の無責任な姿勢を批判する意見を投げかけましたが馬耳東風でした。8月の委員会では再発防止に向けての第三者専門委員会を設置することが決定しました。9月5日に第1回が開催され、ホームページでツッコミどころ満載の事件の経緯が委員会資料として公開されています。第2回は10月2日に開催されるそうです。事件の検証をしっかりとしてほしいと思います。

江戸川区は、再発防止について勤務体制や一人で抱え込まないようになど、役所内のケースワーカーの仕事・組織のあり方を問題としています。でも、そういうことなのでしょうか。お亡くなりになった人をそのままにしておき、忙しくて忘れてしまうなんてことがあるのでしょうか。ほんとかどうかわかりませんが、外人部隊の傭兵たちでも戦場で仲間を生死が分からないまま、見捨てて立ち去るということはしないといいます。そんなことをしたら、その後の士気が極度に低下してしまうからだそうです。

亡くなっていく人、亡くなった人にも尊厳があると私は考えます。いっしょに歴史をつくってきた死者にも敬意を払わなければならないと思います。

60万都市の江戸川区で公的扶助(生活保護)を担っていながら、腐乱して白骨化した遺体にしてしまうとは何事でしょうか。人間の尊厳を大切にする姿勢、人権意識が欠落しているとしか思えません。今回の事件は、行政の人権への配慮が問われる場面でした。それなのに役所の無責任な態度は何なのでしょう。組織や仕事の問題にすりかえないで、人権意識を培う取り組みを江戸川区としてやっていってほしいです。