11/30一般質問をしました~その1 江東区の居住支援~

医療・福祉

いやーはじめての一般質問を3日前にしました。新人議員で一般質問していないのは私だけだったので、ようやくといった感じです。

※ちなみに写真は、11/30の一般質問のときのものではなく、10/2の決算審査特別委員会のときの私です(まだ暑かったのでワイシャツ姿)。

とにかく一般質問の要領が分からなかった。役所とのやりとりに少々手間取りました。なんといっても事前に質問原稿の提出を求められたのも戸惑いました。私、スピーチのときに原稿を作らないタイプなんですよ。言いたいことを箇条書きにして、その場で自分の言葉で表現するのがいつものパターン。

原稿作成には骨が折れましたね。文字にしてみたらすごく長くなってしまったのですよ。質問は大枠として2つのトピックを挙げました。一般質問は一人15分の持ち時間です。でも、一つのトピックで25分くらいの分量の原稿になってしまったのです。ですから全体で50分くらい話をしていられる原稿になってしまったのです。それを削りに削って、15分にまとめ上げました。

今回、削る前のオリジナル原稿を掲載したいと思います。

「江東区の居住支援のついて」

(1)江東区の居住支援に係る現状と課題について

江東区の住宅状況を鑑みるに、やむところのないマンション建設、住宅需要の増加、そして家賃の高騰により、江東区民の住宅費の負担増が深刻になっています。とくに高齢者、障がい者、そして所得が低い方々、生活保護を受給している方には居住の課題が重くのしかかっています。

昨年の調査では、江東区に住み続けたいという区民が90%を超えています。しかし、生活に困窮している人にとっては、住み続けたいのにできない状況が生まれています。住まいこそ人権です。そして福祉そのものです。富裕な人ばかりではなく、困難を抱える人にとっても安心できる住まいの確保が実現できなければ、福祉を標榜する自治体とはいません。そのような現状を踏まえ、江東区の居住支援に関して、課題を指摘していきます。

江東区の人口は増加しています。それに伴って住宅需要は非常に高く、家賃相場が高騰しています。2021年のワンルームアパートの江東区の賃貸家賃相場は、87,500円です。江戸川区は、62,900円、葛飾区は、61,500円ですので、その差は2万円以上あります。

さらに空き物件の不足も課題になっています。総住宅数に占める空き家の割合を「空き家率」といいます。23区では平均が10%以上です。しかし、江東区は、一昨年の数値で8.3%。これは23区で最も低い空き家率です。中央区や千代田区よりも全住居に占める空き住居の割合が低いのです。

また、2021年度の国交省の調査によれば、アパート経営をしている大家の7割弱の方が高齢者や障がいのある方に部屋を貸すことに拒否感があるそうです。また、精神障がいのある方に部屋を貸すことを不可としている大家さんは全体の25%以上となっています。困難な状況にある方は部屋を借りること自体も困難なのです。

家賃の高騰、空き住居の少なさ、不動産事業者の意識、いずれをとっても課題であると思います。住みなれた地域で安心して生活できることが当然の権利が江東区では脅かされているのではないでしょうか。

 

(2)お部屋探しサポート等の居住支援関係事業の課題について

先だっての決算審査特別委員会でもお部屋探しサポート事業に関する質問がありました。そこで成約件数の低さが問題点として指摘されていました。ここ数年で成約数は15~20数件程度。54万人近い江東区であまりに低い。死後事務も担ってくれるあんしんサポートも4件しか実績がない。当該委員会では事業としての存在意味を問われていました。これに関して、私も同意見であります。

わがまちで現在、老朽化したアパートが取り壊され、その土地にマンションを建築するということが多く見られます。そのため、長年、住んでいた高齢者、障がい者などの方々がお部屋探しをしなければならないという事例に頻繁に出くわします。つまり、高齢者のお部屋探しニーズはあるわけです。しかし、なぜ、お部屋探しサポート事業が活用されないのか。

いずれにしても、お部屋探しサポート、あんしんサポート、障害者単身生活サポート事業と居住支援に係る各種事業があるように見えますが、使い勝手が非常によろしくない。高齢者や障がい者は事務手続きが負担であり苦手です。にもかかわらず、すべての事務を当事者のみにゆだね、なんらの福祉的対応もない。不動産業者も高齢者支援の専門家ではありません。高齢者や障がい者にわかりやすいように説明するということになれていません。居住支援の事業は福祉部門との連携が欠かせない、福祉的対応とアウトリーチ支援がお部屋探しサポートには必要なのです。予約を取って区役所に行って、持ち回り当番の不動産業者が「物件を紹介するからあとは自分ですべてやってくれ」というのでは、自力で近所の不動産店に行くこととほとんど変わるところがありません。事業自体が高齢者や障がい者にあまりにも不親切だと思います。実績が少ないことは当然ではないでしょうか。

また、障害者単身生活サポート事業にしても「単身者」しか支援の対象に含めていない。障がいのあるご夫婦の人もいれば、高齢ご家族が障がいのある子どもの世話をしている場合もあります。一人暮らしの障がい者に限定した支援というのはあまりにも実情にそぐいません。柔軟な対応が求められます。

お部屋探しサポート事業に事務手続きのお手伝い、同行、アウトリーチなどの福祉的支援を含めることは可能でしょうか。またそれが他部署との連携により可能ということであれば、明文化して連携のしくみづくりをする必要があると思います。お部屋探しサポートの福祉的支援を含む拡充に関して、区の見解はどうなのでしょう。また障害者単身生活サポート事業に関しては柔軟な運用を要請していきたいです。

 

(3)居住支援協議会の活用について

江東区では2011年に23区で初めて居住支援協議会が設置されました。いままで民間重視の住宅政策のなかで住宅市場における立場の弱い人たちを救済するための法律、住宅セーフティネット法(2007年)で定められた合議体です。住宅市場で立場の弱い方々というのは、「住宅確保要配慮者」と当該法律の中で呼ばれています。高齢者、障がい者、ひとり親家庭などのことです。では、江東区の居住支援協議会での議論は、住宅確保要配慮者に資するものなのでしょうか。

先に述べたように居住支援関係事業の実績は非常に低く、その内容も実情にそぐわない。そして、協議会のメンバーで実際に居住支援の相談業務に携わっている民間団体が一つもないことも問題であると思います。

2017年に住宅セーフティネット法が改正され、住宅政策と福祉政策の一体化が謳われました。その中で住宅確保要配慮者の居住支援を中心業務とする団体「居住支援法人」の設立が新たに定められました。昨年にかけて江東区でも2団体が居住支援法人の認可を東京都から受けています。そういった居住支援に係る福祉的支援をしている団体に積極的に参加してもらうべきではないでしょうか。机上での議論をしている人たちだけでは住宅確保要配慮者の実情がわかるはずがありません。居住支援の実務を担う各団体が江東区居住支援協議会への参加を求めても断わられていることも聞いています。現場で動いている居住支援団体に協議会に参加してもらうべきと考えます。

年1回しか開かれないとはいえ、すでに10年以上、当該協議会は実施されています。今後の江東区居住支援協議会のあり方に関して、再検討しなければならないのではないでしょうか。

 

(4)生活保護における住宅扶助の特別基準の適用について

先だっての決算特別委員会では生活保護者の住宅に関して、以下のような区の答弁がありました。「いまのところ本区内の物件については、(生活保護の)基準内におさまる家賃設定の物件が数多く存在しております」。しかしながら、カカクコムの不動産情報検索サイト「スマイティ」で江東区内物件の家賃相場を調査したところ、全10,899件の物件のなかで家賃6万円未満の物件は、358件。わずか3.2%でした。ちなみに生活保護の住宅扶助で一人暮らし世帯の家賃上限は53,700円です。全体のわずか3%しか6万円以下の物件がないという状態で江東区に生活保護の基準で入居できる物件が「数多く存在する」といえるのでしょうか。ちなみに全体で最も多い割合である62%の物件が「6万円以上10万円未満」の家賃です。江東区に生活保護基準で入居できる物件が数多くあるというのは自治体としての適切な認識とは到底思えません。

私としては、江東区には生活保護基準で家賃を支払える物件は極端に少ないと感じています。生活保護の支援現場でよく見かけるのが、本来6万円以上の家賃の物件において、住宅扶助費を超える部分を管理費などと称して毎月支払わせているケースです。管理費の部分は最低生活費である生活扶助費の部分から支払うことになります。つまり、江東区に「生活保護基準で入居できる物件が数多くある」という認識であるならば、とりもなおさず基本的人権である最低限の生活が保障されていない江東区民が数多く存在するということでもあります。

そこで私は生活保護の住宅扶助に係る特別基準の適用を求めます。生活保護法の運用を定める厚労省通知「保護の実施要領」によれば、要件によって住宅扶助に係る特別の基準を設けています。要件の一つに「通常基準の限度額の範囲では賃貸される実態がない場合」というものがあり、特別基準が適用されれば現行の1.3倍の金額が認められます。現在の53,700円であれば、その1.3倍の69,810円まで家賃上限が引き上げられます。家賃が高い自治体、グループホームの費用、その他さまざまな課題のある方に適用されています。すでに港区、千代田区、中央区では、特別基準が当然に適用されています。ぜひ江東区で全般的に適用してほしい。

先述の通り、江東区の一人暮らしの家賃の平均額は87,500円です。そして、生活保護基準物件は物件全体の3%しかなく、あったとしても住環境として不適切なものや建て替え・取り壊しの時期がすぐに来てしまうような物件しかありません。江東区での住宅扶助に係る特別基準の全般的な適用を強く望みます。

 

(5)家賃補助と公営住宅の活用について

住まいは人権であり、福祉であると信じています。だれもがまっとな家賃で人間らしい住まいに住めることは、当然の権利であります。そして、その権利を保障するのが行政の責務であると考えます。

したがって、江東区における公営住宅のさらなる確保を求めていきたい。区営住宅の改修工事が実施されていますが管理戸数は現行の水準という方針です。そうではなく、ぜひ戸数を増やしてほしい。民間住宅市場における弱者が安心して住める住宅を確保してほしい。

また、住宅確保要配慮者に係る家賃補助の事業を創設してほしい。立ち退きによる転居後の家賃助成を千代田区、文京区、渋谷区などで実施しています。高齢者や障がい者、ひとり親家庭など立場の弱い方々への家賃補助の制度を設けてほしい。

 

低廉な家賃で人間らしい住まいに安心して住める江東区を作り上げていくことを願ってこの小論を終わります。