福祉サービスの利用者・家族が成熟

私の信条

以前も話題としましたが、今回も介護福祉職に対する利用者や家族からのハラスメントの内容です。ハラスメントについて国・自治体はどのように考えているのか、今後どうすべきかを検討していきます。

2020年10月27日に江東区労働組合連絡会の江東区への要請が行われました。江東区の課長級の職員が要請内容に関して回答をしました。そこで「利用者・家族等からのハラスメントから介護職員の尊厳と心身を守り、離職を防止するために介護保険者として具体的な対策を講じること」という要請に関して、詳しい説明を求めました。所管の課長の回答は、「ハラスメントに関する内容を盛り込んだ研修を法人・事業者向けに行います」というもの。これに対して、質問者の下町ユニオン加瀬事務局長は、「痴漢にあった人が研修を受けて痴漢がなくなるのですか。ハラスメントを受けた人が研修を受けたからといってハラスメントがなくなるわけがないでしょう。江東区として対策を講じないのですか」とさらなる検討を求めました。しかし、「研修を実施する」の1点張り。明らかに不十分な対応とわかっているのに検討すらしないという姿勢に私自身、かなり驚きました。

国の方ではどうでしょうか。実は江東区の回答とあまり変わらないのです!今年6月の「令和3年度介護報酬改定に向けて(介護人材の確保・介護現場の革新)」では、2019年に行われた介護現場ハラスメント調査のことが掲載され、その対策案が示されています。

しかし、「管理者・職員向け研修のための手引きの作成」、「ハラスメント対策に関する事業主の責務」など被害を被ったほうが研修を受ける・責務が生じる(?!)というあまりにもおかしな内容。ただ、事業者や職員を援護する内容も含まれていて、江東区の回答よりいいものではあります。たとえば、「利用者に配布するハラスメント防止のためのリーフレット作成」、「弁護士相談費用の助成」、「ヘルパー補助者として同行する者への謝金の助成」ということが挙げられています。さらに支援事業の中に「ハラスメント対策の為に行う事業で都道府県が認めるもの」という項目もあり、独自事業の創設への含みも持たせています。

いずれにしても介護現場ハラスメントで職員研修を行うなどナンセンス極まりないことです。そうではなく、「利用者・家族が福祉サービス利用に関して成熟していくような取り組み(ケアワーカーズユニオン交流会での提案)」が必要なのです。そのためには、行政が本気で福祉サービスのあり方を国民の啓発していかなければなりません。福祉の現場では、いままさに人権侵害が行われているのです。事業者や民間法人任せではなく、国をあげて動くくらいの意気込みがなければ、団塊の世代がすべて後期高齢者になる2025年を乗り切っていくことはできません。担い手(福祉職員)も利用者もお互いが笑顔で過ごせるような関係性を構築するためには、「利用者・家族の成熟」を要します。

最後に一言。「ホームヘルパーは家政婦ぢゃない!!!」