老後に2千万円必要?!

医療・福祉

〔老後に2千万円必要?!〕

江東区で高齢者の支援をしていましたが、2千万円の貯金を持っている人は、そうそういませんでした。地域性もあるかもしれないですが、無貯金の方も多かったです。そんなわけで今回は、老後のお金のお話をします。

〔人それぞれ〕

老後のお金、実際にどれくらい必要なのでしょう。しかしこれは、一般論で答えられるわけがないのです。

まず、その人が老後をいかに過ごしたいかということがあります。つねにレジャーを楽しみたいという人ならば、確かに2千万円くらい必要かもしれません。ただ、後期高齢者になると気力・体力的にアクティブに活動することが難しくなってきます。質素な生活に自然と移行していく傾向にあります。

また住まいの状況にもよります。東京23区の民間賃貸住宅で生活しているとなれば、家賃の負担が大きいです。さらに夫婦か単身かでも家計の状況はずいぶんちがいます。

〔私の考える「いくらぐらい必要か」〕

私の個人的な見解ですが、つねに50万円くらいの貯えがあれば老後はかなり安心だと考えます。

というのも経済的にたいへんな状況の方々の支援をしていて、何が怖いかというと「入院」と「電化製品の故障」です。まとまったお金が必要になるからです。

貯金のない方が入院したとき、私がやることは、病院に対して入院費の分納の交渉です。またクーラーが壊れたとすれば、ローンでの購入手続きを伝えます。

そんなとき「ああ貯金があったらなあ」と思います。ですので、コンスタントに50万円くらいのストックがあれば気持ちにゆとりが出ます。そのためにも老後も毎月千円でも2千円でもいいので、少ない年金のなかから貯金をして、まとまったお金が要るときに備えておくのは大切です。

〔公助はどうしたの?〕

そもそも貯金を取り崩す生活でないといけないのでしょうか。無貯金・低収入で生活保護を受給する選択肢でいけないはずがありません。現に生活保護を受けている人でいちばん多いのは高齢者です。2019年の厚労省の調査では、生活保護受給者の55パーセントが65歳以上の高齢者世帯です。

生活保護の活用も含め、高齢者に対する公助の充実を国に強調したいです。これまで長年にわたり税金を払って国を支えてきたのですから、老後くらいは経済的に安心できる世の中であってもらいたいですよ。

経済のことは詳しくないですが、老後の2千万円のために消費が貯金に回ってしまえば、経済が停滞してしまうと思います。結局、「老後2千万円必要」は「誰得(だれとく)」のメッセージなのでしょうか。国や銀行?

質素な生活を送っていれば、老後に3、4ケタの貯金がなくてもだいじょうぶです。また生活保護だって国民の権利です。高齢になってお金のことであくせくする世の中は、勘弁してほしいです。老後まで自助なのかと思うと暗い気分になりますね。