同僚の議員がごみ収集業務の一日体験をしていました。「私もマネしよう!」ということでさっそく役所に連絡。 すると、清掃事務所の所長さんから「ほんとうに大丈夫ですか」のこと。というのも、ごみ収集の業務は、けっこうたいへん。職員の方々が収集車といっしょに走って集積ポイントに移動している姿をみなさんも見かけていると思います。運動不足で体力の衰えが著しいおぢさんに果たして務まる仕事なのか?!ちなみに先に体験を行った議員は、若くスポーツ経験もある方。大丈夫かと念を押されるも、一抹の不安を覚えながら「ガンバります」と返答。そして、2月7日に実習させてもらいました。以下がその報告です。
なんと実習前日は、珍しく雪が降る日だったのです。当日ほとんど溶けていましたが、ごみ袋と見間違う雪の山がところどころにありました。清掃事務所の朝は早いです。7時20分に到着すると、所長さんが「雪が降っているときの実習のほうが(ごみ収集の)たいへんさが分かってよかったんじゃないですか。フフフ」とのこと。
ごみ収集業務のための制服や靴、手袋は貸してくれました。腰痛予防の体操(ラジオ体操に似ている)の後、8時にごみ収集車で出発。ドライバーの方1人と作業職員の方2人、そして私の計4名です。
深川北部地区の収集でした。清澄白河や新大橋、森下などのごみの集積場から収集。いったん車から降りると集積所のごみを収集車に放り込みます。そして、次の集積所に向かう車を小走りで追いかけて、また収集。これは運動不足の私にはキツイ! ときおり何が入っているのかわからないが激重のごみもある。5度以下の寒い日だったのに10分くらいで汗だく、息切れ。しかし、職員の方は話をしながらヒョイヒョイとごみを収集。さすがになれてるな~。私といえばヘトヘトです。ただ、離れた集積場に移動するときは再度、車に乗るので少し休める。そして、また車から降りて、を繰り返します。
今回、冬の寒い日でしたが、これが真夏だったらたいへんですよ。伺うに清掃事務所は水分補給の飲み物などは用意してくれていないそうです。夏場でも飲料、クーラーボックスなどがあるわけではなく、職員の方が自分で買ってくるそうです。これはなんとかならないですかねー。
さて、当日は燃やすごみの収集日だったのですが、新聞や本、ダンボールが出されていました。別の日に出せば、ごみではなく資源になるのに…。江東区では出されていると燃やすごみとして収集するしかないそうです。また古い消火器が廃棄されていました。さすがにこれは収集できないので貼り紙をして、その場に置きました。みなさんごみの分別はちゃんとしましょう!
いったいどのくらいごみを積み込むのか不思議に思っていました。収集車がいっぱいになったら午前中の仕事は終了なのかと甘く考えていると職員の方から「今日は清掃工場の中にも行きましょう。午前中は3台ですから」とのこと。ムムム、「清掃工場」、「3台」、なんぞや?!
ごみ収集を続け、さらなる集積場に向かうのかと思うと、夢の島の隣にある新江東清掃工場に到着。そこで積み込まれたごみをすべて「ごみバンカ」というところに降ろすそうです。つまり、収集車に積み込み、いっぱいになったら清掃工場に行って、ごみを降ろす。これを午前中に3往復することが「午前中は3台」ということ。今回、ごみ収集車は、新大型特殊車という種類でしたが、2トンくらい積んだら、清掃工場でバンカに降ろすようでした。
新江東清掃工場、アジアで2番目に大きいそうですよ。収集車がプラットフォームという場所に並んで、収集したごみを「ごみバンカ」に落とすシーンは、壮観! 広大な空間にごみが落ちる様子を車のモニターから見ていました。バンカに降ろされたごみは、焼却されます(中間処理)。通常は、バンカに落とす作業を収集車のドライバーの方が対応し、作業員はトイレ休憩するなど外で待っています(待合所にイスがほしい!)。
清掃工場で収集車をカラにしたらまた町に向かい、新たな集積場でごみを積み込みです。作業中にごみの中に、尖ったものが含まれていて、職員の方がけがをすることもあります。手袋をしていても貫通してしまいます。清掃作業は基本的に危険が伴います。刃物や串などを捨てるときは清掃の職員の方がけがをしないように包んだり、まとめるなりしてから捨てるようにしましょう。
ごみ収集車の回転板がごみをかきこんで積み込む様子をみなさんも見たことがあると思います。私も収集車の回転板の作動をやらせてもらいました。といってもボタンを押すだけです。30秒くらい回転すると停止し、またボタンを押すという作業。おそらく巻き込まれ事故の防止もあり、短い間隔で停止するのだと思います。そんなわけで、ごみを放り込むと同時に、回転板が止まったら再度、作動ボタンを押す作業をしなくてはいけない。けっこう忙しい感じです。
マンションなど集合住宅では道端にごみを集積するのではなくて、専用コンテナに集積をしています。これはかなり負担軽減! 収集車にコンテナを接続するとレバー操作でコンテナが持ち上がり、自動的にごみが車の中に入っていく仕組みになっているのです。コンテナの操作も体験させていただきました。ぎこちない感じ(タイミングが難しい!)ですが動画を観てください。
そんなこんなで午前中に集積場と清掃工場3往復、午後が1往復して、2時半過ぎに清掃事務所に帰ってきました。職員の方々は「またこの後、事務があるから」と去っていきましたが私は疲れ切ってヘロヘロ。
そして収集業務後に「洗身」といってお風呂に入るのですね。所長さん曰く「洗身(入浴)も仕事です」。ごみの収集、不衛生なものに触れることもあります。感染症のリスクなどもありますから職員の方々が清潔を保つことは大切です。
清掃事務所では民間の清掃会社(「雇上会社」(ようじょうがいしゃ)といいます)の収集車もたくさん活動しています。清掃業務の民間委託がどんどん進んでいるのです。私の実習では、江東区の公務員の職員の方々に指導していただきました。江東区が所有する収集車はわずか7台だそうです。会計年度任用職員(官製ワーキングプア)も増えているとのこと。それはとても心配です。民間の会社が賃金や待遇面で問題はないか、今後、ごみ収集のノウハウを自治体が蓄積できるのか、いろいろな課題があります。収集車を自治体が所有することは、災害時のがれき撤去などに貢献できるでしょう。その意味でも行政責任で清掃事業が運営されることが望ましいと考えます。安易な民間委託はやめてほしいですね。
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清掃事務所の業務、職員の方々の待遇に関係することを以下の通り提案します。
・夏場の水分補給を自治体が準備する
・職員の方々の安全確保と体力が消耗しないような取組みを実施する
・清掃業務は直営を基本とする
お世話になった職員の方々、ほんとうにありがとうございました。充実の一日でした(体験翌日は筋肉痛でイタイタ)。今後も清掃事業人関する理解を深めていきます。