見えないケア労働が現場を支えている〜それでいいんですか⁈〜

私の信条

ケアマネジャーの仕事は、介護保険制度の枠の中で実施されます。ケアマネの業務は、ケアプラン作成やサービス調整などが制度上の役割として明確に位置づけられています。

しかし、現実の現場では、その枠に収まりきらない支援が日常的に行われています。夜間や休日の電話対応、家族関係の調整、マイナンバーカードの申請、家賃の支払い、介護とは関係のない生活課題への寄り添い・・・もちろん本来やらなくていい作業です。とはいえ、身寄りのない独居高齢者が増加している現状、「誰がやるんだ」という話になります。介護保険以外の事務をやってほしいという要望は多いのです。そして、ケアマネはそれを仕方なく担っています。行政に相談しても、見て見ぬふりといった感じです。

こうした介護報酬に反映されない働きは、「シャドウワーク」と呼ばれる見えないケア労働です。ちなみに障がい者の福祉でも「相談支援専門員」というケアマネジャーと同じ役割の人がいて、やはりシャドウワークに苦しんでいます。

昨年(2025年)、このことが厚生労働省の社会保障審議会の中でも大きな問題として注目されました。ケアマネジャーの人材不足が進む背景には過重労働があり、制度改定で担当件数の上限が引き上げられた一方、業務範囲外の依頼への対応が負担を増やしていると指摘されています。

社会保障審議会の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」では、シャドウワークの内容を左記の3つに分類しました。

① 介護保険外サービスで対応し得る業務

例:書類作成、代筆、救急車への同乗

② 他機関につなぐべき業務

例:ゴミ出し、大掃除、財産管理、死後事務

③ 対応困難な業務

例:医療同意

国のほうでもシャドウワークの存在を認め、分析に努めてくれたことは、よしとします。しかし、実際的な対応は、ぜんぜん進んでいません。社保審のケアマネ検討会の中間整理では、シャドウワークは、「地域課題であり、地域全体で解決せよ」と見当違いなことを言っています。地域課題ではなく、日本中のケアマネ業務に共通な一般課題ですよ。

それでは、一体どのような仕組みが求められるのかということです。私は、「行政の中にシャドウワーク部分を担う専門部署を設ける」必要があると考えています。ケアマネジャーや相談支援専門員が抱え込んでいる制度外の調整、生活支援、家族対応などを、行政の専門チームへ正式に依頼できる体制を整えてほしいのです。

これにより現場の専門職は本来業務に集中できると同時に、利用者の生活課題は、ケマネ個人の善意ではなく社会的責任として扱われるようになります。つまるところ、ケアマネのシャドウワークは地域の責任でも自己責任でもありません。「ワーク」として正式に引き受ける機関がないのだと思います。

見えないケア労働は、これまで日本の福祉現場を支えてきました。その献身に依存し続けることは、支える側を消耗させ、やがて制度そのものの持続性を損なってしまいます。だからこそ、シャドウワークを可視化して、社会的責任として、行政が担う業務へと移行すべきと私は考えています。