市民の声・江東 区政報告会「認知症もいろいろ! 楽しくいこう!」

私の信条

2024年12月14日に亀戸文化センターにて、シンポジウム「認知症もいろいろ! 楽しくいこう!」と題して、市民の声・江東の区政報告会が行われました。ちなみに「市民の声・江東」は、私が属する政治団体です。第1部が、私の区政報告、そして、第2部がシンポジウムです。

国は、12月3日に認知症基本計画を閣議決定しました。「新しい認知症観」を提唱する計画です。今回のシンポジウムでは、この計画に基づいた最新の高齢者福祉が議論されました。

     

登壇者は、認知症の当事者の飯塚さん、地域包括支援センターの社会福祉士 堂西さん、ケアマネジャー・看護師の由良さんです(進行は、まにわ)。それぞれの立場から意見交換をしました。

当事者の飯塚さんは、61歳のときに若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。いままで認知症ではない「外の人」だったのが、いきなり「中の人」になり、暗澹たる気持ちになったそうです。しかし、当事者の会に参加し、談笑しているうちに「認知症は、高齢者の5人に1人がかかるもの。カゼのようなメジャーな病気だ。こわくない」と前向きに考えるようになりました。いまは趣味の写真に熱心に取り組んでいます。会場でも素敵な作品を披露。自分らしい生き方をエンジョイしています。江東区でも認知症の人が主体的に楽しめるような場がないか、その場をどう作っていくかなどを検討し、理解の促進に向けて精力的な活動をしています。とてもおだやかな口調の中に飯塚さんの「どんな状態でも自分らしく生きられるんだ!」という力強い決意がにじみ出ていました。

社会福祉士の堂西さんからは、「そもそも古い認知症観が認知症の人を無力な人間として扱っていた」という重要な指摘がありました。認知症になったらパワーレスになってしまう、支援されるべき人間になってしまうという支援者の先入観で福祉専門職は支援をしていたのです。世間一般も「認知症の人はなにもわからない」という思い込みをしています。認知症を患っていても、その人らしい人生を送っている人は何人もいます。堂西さんは、認知症の当事者の方とのかかわりで、そのことを痛感し、飯塚さんらの積極的な活動に心を打たれ、現在のご自身の業務に活かしているそうです。

ケアマネ・看護師の由良さんは長年の現場経験がありながら、「自分は認知症の人への対応が苦手」と告白していました。看護師という職業柄もあるのでしょうか、疾病ばかりに着目してしまい、認知症の人の自分らしい生活に視点が向かなかったそうです。飯塚さんの目覚ましい活動を目の当たりにして、今後の認知症の方への支援について考えを新たにされた様子でした。

「認知症の予防」という言葉は使いません。当事者の方々は、予防に失敗した人ではないからです。認知症は、誰もが患うごく当たり前の病気です。認知症といっしょにその人らしい生き方ができます。これが「新しい認知症観」です。

介護保険が始まって、四半世紀経とうとしています。「自己決定の尊重」と「ノーマライゼーション」が理念のはずなのにそれが支援にうまく反映されていませんでした。今回の国の基本計画は、ようやく当事者の視点が認知症施策に導入されるようになった、大きな足がかりです。飯塚さんが「いまは(認知症の当事者活動の)黎明期です」と言っていたのが印象的でした。