「カリフォルニアから来た娘」症候群・・・福祉の現場に関わる人であれば、一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。遠方に住んでいた親族が突然現れ、これまで積み重ねてきた支援の流れに強い影響を与える現象、要するに、それまで関係が薄かった家族などが急に口を出し始め、プランに沿った支援を破壊してしまうことです。
私は、このことには二つの側面があると考えています。
〔支援者側が「カリフォルニア娘」を生み出してしまっているケース〕
本来、遠方に住む親族は重要なキーパーソンになり得ます。しかし、支援者が十分な説明を尽くさなかったり、情報共有が不十分であったりすると、不信感を抱きやすくなります。「なぜこのサービスが必要なのか」、「本人にとって何が最善なのか」といった点がちゃんと伝わらなければ、カリフォルニア娘自身、これまでの経緯を把握していないこともあり、自らの判断で介入しようとします。その結果、支援の現場では「突然現れて混乱を招く人物」という構図が生まれてしまうのです。
この場合、本質的な問題はカリフォルニア娘だけにあるのではなく、支援者側の接し方にあります。信頼関係の構築ができていれば、せっかくのよきキーパーソンとなり得たはずなのに、支援者が自ら遠ざけてしまっているのです。カリフォルニア娘を協力者として迎え入れる姿勢が必要です。
〔ガチの虐待ケース〕
ケアプランに基づいた支援が安定的に提供されているにもかかわらず、カリフォルニア娘が独自の考えに固執し、サービスを止めてしまう。さらには、年金や相続財産を目的として本人を囲い込み、外部との接触を遮断するようなケース。これらは明らかに権利侵害であり、速やかな虐待通報が必要です。
こういったケースは、対応がかなり厄介になります。というのも、当事者を囲い込む側には、財産目当てなど一定のよからぬ意図があります。私たちがカリフォルニア娘の虐待に気づき、何らかの対応をしようとすると、それに対して、激しい攻撃をすることが往々にしてあるのです。支援チームを恫喝し、悪徳な福祉専門職としてSNSに晒すなどの事例を私は実際に見たことがあります。このときは、虐待対応の自治体の関係所管につなぐ必要があります。
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いずれにしても、二つの側面を的確に把握することが大切です。単に「いままで関わってこなかった家族が介入してきた=困った存在」と短絡的に捉えるのではなく、その背景にある関係性や意図を適切に読み取る必要があります。支援者の関わり方によって改善可能なケースなのか、それとも権利侵害として介入すべきケースなのか、その判断を誤れば、本来守られるべき本人の生活や尊厳が損なわれてしまいます。
家族や周囲の協力者を私たちが支援する根拠は、福祉関係の法律に示されていません。基本的には当事者を支援することが、介護保険法でも障害者総合支援法でも本旨となっています。ですが、カリフォルニア娘に対応することも一種のコミュニティワーク(地域支援)ではないかと私は考えています。
関わりが薄かった家族をどう位置づけ、どのように関係を築くのか。権利侵害の兆候を見逃さないために何が必要なのか。カリフォルニア娘は、私たち福祉関係者に様々な投げかけをする存在でもあるのです。

